カラスを知りカラス対策に活かす
コラム13 「カラスの保護について」
この記事を書いたのは
代表取締役 塚原 直樹
博士(農学)
宇都宮大学特任助教
群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』。
個人ウェブサイトはこちら怪我したカラスを見つけたのだけど...
弊社にも、怪我したカラスを見つけたけれど、保護したのだけれど、という相談をいただくことがあります。
さまざまな考え方があるかと思いますが、野生動物であれば、怪我や病気などで死ぬ個体が出るのは仕方ないですし、それが自然の摂理とも言えるので、できる限りヒトは介入しないのが良いのではと、我々は考えております。仮に保護してしまったとしても、絶滅危惧種であるなどの特段の事情があれば、公的機関が保護して自然復帰させるまで飼育することもあるでしょうが、カラスは対象になりませんので、残念ですが、野に放つしかないかと思います。
ただ、怪我をした動物を見て可哀想に思い保護したくなる気持ちもわかります。ですが、保護して自然に返すのであれば、人馴れしないように注意するとか、幼鳥であれば、食べ物を手に入れる方法を教えるとか、色々と注意を払う必要があります。適切に飼育しなければ、せっかく自然に返しても、猛禽類や他のカラスに襲われる、自分で食べ物を手に入れることができないなど、何らかの理由で死亡する可能性が高いです。元気なカラスであっても自然を生き抜くことは大変なので、自力で生き抜く力をヒトがつけさせることは正直難しいとは思います。
自然に返すことは考えず、保護して終生飼育するという選択肢もあります。ただ、最後まで責任を持って面倒を見ることができるか判断してください。いずれにせよ、飼育するのであれば、愛玩動物よりも手間がかかりますし、飼育に関する情報も少ないことは認識しておく必要があります。一般の家庭で飼育するということについて、我々には経験がありませんので、飼育する場合は経験者に助言を受けることをお勧めします。
カラスの生態をもっと詳しく知りたい方に
CrowLab代表の塚原の著書『カラスをだます』では、身近だけど意外と知られていない、誤解されているカラスの生態や、また身近なもので今すぐできるカラス対策なども紹介してますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いたのは
代表取締役 塚原 直樹
博士(農学)
宇都宮大学特任助教
群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』。
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