カラスを知りカラス対策に活かす
コラム4 カラスは目が良い?優れた視覚をもつカラス
この記事を書いたのは
代表取締役 塚原 直樹
博士(農学)
宇都宮大学特任助教
群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』。
個人ウェブサイトはこちらカラスは燃えるゴミの日を覚えている?
カラスは燃えるゴミの日がわかってますよね?と言うご質問をよくいただきます。とても賢いカラスですが、さすがに人の決めたゴミの日まではわかっていないと思います。ですが、生ゴミが出る燃えるゴミがまるで分かっていたように、ピンポイントで狙ってきます。これは何故なのでしょうか?
これには二つの理由があると考えられます。一つは、カラスの学習能力の高さです。ゴミの日を理解しているわけではないでしょうが、あそこに美味しい食べ物があったぞ、ということは記憶しているはずです。ですので、燃えるゴミの日に関わらず巡回している可能性があります。巡回している中で食べ物が目に入ればそこへ飛来するわけです。
もう一つの理由は、カラスの目の良さです。カラスははるか遠くから、まるでズームレンズのように食べ物を見つけます。それを可能にするのは特殊な眼球の構造にあります。その構造については後述します。ゴミ袋の中にある食べ物を遠くから見つけ、ピンポイントで飛来してくるわけです。
ですので、食べ物を見えなくさせてしまえば、ゴミはカラスに狙われにくくなります。新聞紙などで包んでしまうと効果的です。ただ、記憶を頼りに当てずっぽうで狙われることもあるので、見えなくするだけで必ず防げるわけではありませんが...
ズームレンズのような眼球の構造
眼球は、顔側から後頭部側に向かって、角膜、レンズ、ガラス体、網膜という構造になっています。我々ヒトが物を見る時、このレンズが厚くなったり薄くなったりしてピントを合わせ、遠近調節します。カラスはレンズだけでなく、その手前の角膜を湾曲させることで、二重の遠近調節を行っていると考えられます。また、カラスのレンズは中央部と辺縁部で柔らかさが異なります。硬い辺縁部が柔らかい中央部を押し込み、まるでズームレンズのように柔らかい中央部が突出した形状に変化します。それにより、はるか遠くの物を鮮明に見ることができると考えられます。
カラスの生態をもっと詳しく知りたい方に
CrowLab代表の塚原の著書『カラスをだます』では、身近だけど意外と知られていない、誤解されているカラスの生態や、また身近なもので今すぐできるカラス対策なども紹介してますので、ぜひご覧ください。
この記事を書いたのは
代表取締役 塚原 直樹
博士(農学)
宇都宮大学特任助教
群馬県桐生高校卒業。CrowLab代表取締役。宇都宮大学にて杉田昭栄教授のもと、カラスの音声コミュニケーションの研究に従事し、博士取得。宇都宮大学特任研究員、総合研究大学院大学助教を経て、現在は、宇都宮大学特任助教。カラス研究一筋20年。主な著書にNHK出版『カラスをだます』。
個人ウェブサイトはこちらコラム一覧
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